Life SUCKS but It's FUN

音楽、IT、サブカル、アイドル、その他思いつくまま、ルサンチマンの雑記です。

女の子を騙して付き合ってしまった話。

 

就職して数年経ったある日のこと。

突然僕の会社にPCが導入された。それまで触れたこともなかった。インターネット黎明期の出来事。20年くらい前の話。

僕はそういうガジェットには物怖じしないタイプなので、さて実際使ってみると非常に面白くて、退社後も当時ちらほらと巷に出来始めたインターネットカフェに入り浸るようになった。

 

当時の、いや今もかもしれないけれど、インターネットカフェのPCのデスクトップには、その店舗なりのオススメコンテンツのようなものが並んでいて、そこで初めて僕は「チャット」なるものを経験した。

 

今では当たり前なんだけれども、当時の僕は腰が抜けるほどびっくりもしたし、魅了もされた。赤の他人が出会う方法なんて「ペンフレンド募集」くらいしか知らなかったから。マジで。文通なんかして、結局大きな玉ねぎの下で待ちぼうけするのも嫌だったからやらなかったけど。

 

それがいとも簡単に、そして気軽に他人同士が会話を始められるという異空間。当時もボッチだった僕にはそれがとても華やかに映った。

 

そこでインターネットカフェに毎日通うのも馬鹿らしいので後輩に相談してみた。自分のPCが欲しかったのだけれども、当時はまだまだ高かったのだ。

「それなら要らないパーツ集めてみますんで、作りましょうか?」

は?なにそれ。パソコンって「俺の大親友のツレ、パスタ作ったお前」みたいなノリで作れるもんなの?一目惚れすんぞ、マジで。

 

で、後日後輩がPCを作ってくれて設置までしてくれたんだけど、チャットしたいって伝えたら

「あー。別に良いとは思うんですけど、これだけは守ってください。絶対に本名は言わないこと。住んでいる場所も、仕事も。できれば年齢も適当に。

そういうもんなのか。ナードな後輩がそう言うならそうなんだろう。わかりました。

 

そうして僕は自宅のパソコンでネカフェで初めて入った「ビギナー」という部屋の4番に入ってみた。Blogじゃ口悪いけど実際は腰の低い好青年なんで、ひたすら丁寧語でちょこちょこと参加もしてみた。そして数日通ってみると流動的なはずの「ビギナー4番」になぜかいつもいる常連が数人居ることに気がついた。

 

特に「oda」さんは暇なんだかニートなんだか知らんけど常に、居た。

僕はこのBlogと同じ「jetsetloo」というハンドルネームを使っていた。別に興味もないだろうけどJetsetというのは60年代ころのジェット旅客機が出始めた時代のスラングで飛行機で世界を飛び回る人のこと。Looというのは僕のアメリカの大学時代のあだな。僕の本名は英語読みだといろいろ厄介なので。

 

当然の帰結というか流れなんだけど、何日かしてodaさんが話しかけてくれた。

「ジェットくん。いくつなの?」

odaさんは他人との会話で確か大学生って言ってた。僕は27歳だけどえらく腰低く入っちゃったんで年下だと思われてる。立場逆転もやだし。どうしよう・・・

パスタ野郎の後輩の顔がよぎる。

できれば年齢も適当に。

 

odaの発言:ジェットくん。いくつなの?

jetsetlooの発言:ジュ。。。ジュウナナサイデース

odaの発言:∑(!? ̄Д ̄)゚Д゚)・д・) エェーッ!!

 

関係ないけど、僕、この「顔文字」ってやつが生理的に大嫌いで、対して驚いても居ないくせに、「∑(!? ̄Д ̄)゚Д゚)・д・) エェーッ!!」ってなんだよ。くっそつまらない発言に対しても「アヒャヒャヘ(゚∀゚*)ノヽ(*゚∀゚)ノアヒャヒャ」とかいちいち大げさに見えるし。どうせ笑っても居なけりゃ、真顔で登録変換一発でだしてるんだろ。こっちは目がうるさいんだよ、観ていて。というより自宅にPC持っていて辞書登録しているような常連っていうアピール感もあったんで、当時は確実に。

 

まぁそれはともかくodaさんはいい人だったし、僕は可愛い年下って体も保てたし、嘘は嘘なんだけども、後輩の忠告も守ったし。そもそもodaさんだって大学生かどうかもわからんし、大して気にしてなかった。

そしてこれが後々大事件となって僕にのしかかって来るとは微塵も思っていなかった。(フラグ)

 

僕は昼の12時頃に出社していたので割と夜中までチャットをしていた。既に5~6人の知り合いもできていた。そしてそこに何故か夜中の2時くらいから入ってくる「nana」というやたらウルサイ女の子も居た。文字なのにうるさい。本人曰く、歌舞伎町ナンバーワンキャバ嬢だそうだ。アメリカにはキャバクラなんてものはないし、興味もなかったのでそれがどういうものかもあまりわかっていなかったけれども。

 

「じぇっと、まじウケル~~~~~」ってしょっちゅう言われた。なんも言ってねーよ。

 

nanaの発言:じぇっとどこ住んでるの?

 

どうしよう。この時には既に自分の中のセキュリティーはわりと緩くなっていたし、これ以上嘘を重ねるのもなんだか罪悪感が産まれていた。

 

jetsetlooの発言:高円寺あたり…。

nanaの発言:まじウケルwwwじゃ今から行くわ。駅出たとこのロータリー居て^▽^)キャッキャッキャッ

 

は???アホかこいつ。会えるわけねーだろ、色んな意味で。と思ってたらnanaはとっくにログアウトしていた。本気らしい。

高円寺は確かにチャリで10分だった。夜中だったから飲み屋街と反対側のロータリーは人も少ない。けれども自分、高校生じゃないしネットで人と会うことになるとは思っても居なかったし、かなり迷ったのだけれど、いい機会だとも思えた。

 

そうだ。顔合わせればちゃんと高校生じゃないってわかる。きちんと謝ろう。事情を説明しよう。

その頃の僕は既にビギ4の常連を好きになっていた。喉のつかえはずっとあった。待ち合わせ場所で待っていると一台のタクシーが止まった。出てきた女の子はひと目でそれとわかる雰囲気だった。

 

「じぇっと本当に高校生じゃん!!!マジうける~!!!!」

 

 

 

∑(!? ̄Д ̄)゚Д゚)・д・) ハッ???

 

コイツ。マジなの???

頭混乱しながら喉まで出かかった言葉を飲み込むしかなかった。無理やり新宿連れて行かれた。朝までカラオケと酒つきあわされた。こっち高校生なのに

 

今でも多少は若く見られるフシはあるけども、17歳に見える27際は流石に無理がある。気をつかってくれてるのかマジなのか。深読みしすぎながら歌うカラオケはちっとも楽しくなかった。

 

そんな感じで無理矢理nanaが誘ってきては出かける日々が少し続いたある日の土曜日。nanaに明日は学校休みかどうか聞かれた。そもそも学校行ってないからそうだよ、と答えるとnanaの家まで連れてかれた。ベッドに入って10分くらいでなんで何もしてこないの?と聞かれた。するわけ無いだろ、これ以上罪を重ねさせるな、と思ってたんだけど、僕ら別に付き合ってないじゃんと無難に答えた。

 

次の日起きて、一緒にネカフェに行った。nanaはログインするなり、「nana、じぇっとの彼女になりましたー^▽^)キャッキャッキャッ」とかはしゃいでた。付き合うって言ってないのに。そのあと堰を切ったようにビギ4でカップルが産まれ始めた。その時には既にodaさんが管理人のコミュニティサイトが出来ていた。メンバーは20人くらいいた。

 

ここまで大体1ヶ月くらい。そして突然odaさんがオフ会を開こうと言い出した。どうしても相談したいことがあるらしい。

 

二度目のチャンスだと思った。事情を話そう。みんなに謝ろう。nanaはアホの子だから気が付かなかったけども流石にみんな気づいてくれるはずだ。ちゃんとスーツで行こうと思った。

 

みんなと待ち合わせた。居酒屋にいった。みんなの様子を伺ったけども顔色からでは読み取れなかった。タイミングを見て話そうと思った。

odaさんの相談とは、コミュニティ作ったのは良いけど就職活動が始まるので管理人を交代したいという内容だった。

 

「そこで、管理人をじぇっとくんにやってもらいたいのだけれど。一つ問題がある。じぇっとくんがまだ高校生という点なんだけども・・・・じぇっとくん大丈夫?」

 

 

 

 

∑(!? ̄Д ̄)゚Д゚)・д・) ハッ???

 

 

 

バカなの?スーツ着たおっさんやで!!!みんなもウンウンと頷いている。まてまてまて。みんなも馬鹿なの????僕はまたしても言葉を飲み込んでしまった。当時の僕はマジで高校生に見えるらしかった。

 

 

最後に。結局僕は管理人を引き継いだけどもコミュニティは一ヶ月ももたなかった。しょせんは烏合の衆だったのだ。nanaも自然に僕から離れていった。コミュニティのみんながそうであったように。ただ、nanaにはバレていた気がしていた。僕がそもそも高校生らしい振る舞いもしてなかったしそういう話題もお互いしなくなっていたから。

 

それから二年たって突然nanaから電話があった。飲みに行こうって言われた。相変わらずだ。僕は今彼女がいるからちょっとごめん、と断った。nanaは相手どんな子?いくつの子?と聞いてきた。23歳だよって答えた。

 

「また年上かよ!!!!じぇっとマジうける~!」

 

 

 

・・・・・お前まじか。でもごめんね。みんなごめん。実害はなにも無かったと思うけども。今ここで謝っておきます。だれも見ないだろうけども…。